「俺、結婚することにしたんだ」
中学時代からの幼なじみからの久しぶりの電話できなりの報告。私は驚きを隠せなかった。

 

同じ高校を卒業してから、お互いに別々の道を歩み、私は東京の大学へ進学。その幼なじみの親友は地元の自動車メーカーの子会社に就職の道を選んだ。

 

大学時代に帰省をしては一緒に酒を飲み、互いに近況を報告し合う仲であった。
しかし私が就職をしてからは帰省することもなく、連絡が途切れてしまっていた。
そうした中いきなりの電話だった。驚きと喜びを隠せなかった。
「結婚式来てくれるよな?」「もちろんとも」そしてそんな約束をした。

 

電話を切った後、一つ心残りがあった。いくらお金がかかるだろうか。
結婚式は地元で行われる。ご祝儀もかかる。毎日着古したスーツで行くわけにもいかない。
交通費、ご祝儀、スーツや靴の費用。全て合わせると10万円程。
この費用をどう工面するか。それを考えはじめると憂鬱な気分になった。

 

結婚式まで2ヶ月。悶々とした気分が漂った。毎月の給料では到底まかないきれない。
貯金をする余裕さえもない毎日で、どう捻出すればいいのか。

 

ふと、電車の中で目に止まったのが消費者金融の広告であった。
「当日振込みOK!最大500万円まで融資します!」
途中の駅であったにも関わらず、電車を降り、すぐに申し込んだ。

 

審査も通り、無事にお金を借りることができた。
すぐに飛行機の予約をし、スーツと靴と、新しいシャツまで買った。
ご祝儀に加えて、東京のおみやげも持って帰省をした。
結婚式のあの親友の幸せそうな笑顔は忘れられない。

 

親友からもらった「ありがとう」の言葉を、私はそのまま消費者金融の会社に送りたい気持ちだった。